All Songs Written by Motoharu Sano | ||
| 01 アンジェリーナ −Angelina− 『BACK TO THE STREET』(1980.4.21発売)収録 1980年の春、ひとりの若者の叫び声が、ぬるま湯のなかで惰眠を貪っていたニューミュージック・シーンの静寂を切り裂いた。ボブ・ディランの歌唱法をフルスロットルで加速化したようなヴォーカル・スタイル、ラディカルなパンク・ロックよりもさらに性急なビート、若い都市生活者のライフ・スタイルをモチーフにした歌詞、ユニークな言語感覚など、さまざまな表現のフィールドにおける彼の斬新なアプローチは奇妙な鎖国状態に陥っていた“日本語のROCK”にリアルなロックンロールのダイナミズムを持ちこんだ。 | ||
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| 02 シーズンズ −SEASONS− 『STONES & EGGS』(1999.8.25発売)収録 このナンバーは、お笑いコンビ猿岩石に「昨日までの君を抱きしめて」として提供した楽曲(歌詞を一部変更)。TVバラエティ「進め!電波少年」の猿岩石のユーラシア大陸横断無銭旅行の企画にこたえての作品となっている。 このナンバーが収められているアルバム『STONES & EGGS』は、デビュー20周年直前に、ファンが元春のどういう音楽的要素を気にいっているかを意識して制作されたアルバムです。自宅のスタジオで自ら演奏してレコーディングとマスタリング、コンピュータ処理をした楽曲ばかりですが、このナンバーだけは、“The HOBO KING BAND”とのセッションになっていて、グルーブ感がとても心地いい作品です。アウトロにかぶる“シャララ”がすべてを説明しています。 | ||
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| 03 ナイトライフ −Night Life− 『Heart Beat』(1981.2.25発売)収録 サキソフォンを全面的に押し出したポップ・チューン。ツィードのジャケットでオシャレしたシティ派のシルヴァー・ボーイと門限の厳しいアップタウン・ガールのラヴソング。 実質的に伊藤銀次との共同プロデュースと言っていい、デビュー2作目のアルバムに収録されています。前作よりも元春自身のコミットが増した分、トータル感のある仕上がりとなっていると思います。このアルバムからは「Night Life」の他に「ガラスのジェネレーション」をシングルとしてリリースしていて、どちらも名曲だと思います。この時期、元春はライヴ・サーキットで着実に支持者をふやしつつあったものの、シングル・ヒットがなく、このアルバムもセールス的には成功しませんでした。 | ||
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| 04 ダウンタウン・ボーイ −DOWN TOWN BOY− 『SOMEDAY』(1982.5.21発売)収録 シングル・ヴァージョンをアルバム『SOMEDAY』でリテイク。今もフェイバリットにあげる人は多い。若いある時期のメンタリティと確実に呼応して、僕たちの心のどこかを動かしつづける。この『vol.3』には、人気の高いシングル・ヴァージョンをリミックスして収録した。 16歳の春、元春と僕はこの楽曲で出逢いました。ウィークデイの22:00から文化放送系ラジオで放送されていた「谷村新司の青春キャンパス」の今週の歌でオンエアされたのがその出逢いです。“ハニー・チェリー、疲れた心さえセクシーにShakin' in the night”と歌う元春の今まで出逢ったことない表現に感動しました。まさに稲妻が走ったという感じで、当時、新博多町にあった明屋(今のわかば)までレコードを買いにいきましたが、売っていませんでした。次の日に、「谷村新司の…」を録音して、音の悪いテープを何度も聴いていました。 | ||
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| 05 どこにでもいる娘 −An Ordinary Girl− 『THE BARN』(1997.12.1発売)収録 アメリカン・ルーツ・ロックの聖地とも呼べるウッドストックで録音された。ボブ・ディランに代表される1950年代後半のアメリカン・スタイルのフォーク・ロックを基調としているが、そこからはみ出して、元春の中のポール・マッカートニー的要素が見え隠れする作品。 この楽曲の主人公は、この年亡くなった元春の妹です。彼は両親もすでに亡くしており、天涯孤独に。デビュー前後、奇妙な歌い方だと指摘をうけて悩んでいた元春に「お兄ちゃんの歌は下手じゃないよ。ただ、他人とはちょっとちがうだけ」といつも励ましてくれていた元春ファン第1号へのレクイエム。 | ||
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| 06 また明日... −If We Meet Again− 『sweet16』(1992.7.22発売)収録 TBS「筑紫哲也のNEWS23」のエンディング・テーマとして使用された。バック・コーラスに矢野顕子を起用している。 コーラスに矢野顕子を起用した理由について元春は、「彼女もボクみたいにユニークなヴォーカル・スタイルだから、一緒に歌うとうまくいくと思った」といっています。とにかくこの曲が収録されているアルバム『sweet16』は、元春中興のアルバムといっていいくらいデキがよく、人知れず「輝く!日本レコード大賞」で年間最優秀アルバム賞を受賞しています。どれくらい人知れずかというと、元春自身も事務所の引っ越しでトロフィーを見つけるまで知らなかったそうです。 | ||
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| 07 サムデイ −SOMEDAY− 『SOMEDAY』(1982.5.21発売)収録 都市の若者たちのための新しい時代のシンフォニー。「SOMEDAY」は、新たな時代を先導するパワフルな可能性の種子だった。「荒廃する街のなかに息づくイノセンス」というテーマのナンバーで 、「SOMEDAY」を超えた楽曲はまだない。日本のポップ・ミュージック史のエバー・グリーン的存在で、元春の作品のなかでもひときわ崇高な輝きを放っている。リリース時、1982年当時のヒットチャートで80位にもとどかなかったこの曲が、時代(とき)をこえてこれほど多くの人びとに愛されつづけているのも不思議な気がする。 この時期、大瀧詠一の呼びかけで『NIAGARA TRIANGLE VOL.2』に参加し、「A面で恋をして」のスマッシュ・ヒットにより、ようやくシーンに名前がでた元春。その直後にアルバム『SOMEDAY』がリリースされ、一気にメジャーの仲間入りをはたします。このアルバムの成功で、吉川晃司やNOBODY、尾崎豊に代表される多くのフォロワーがシーンに登場することになったといわれています。最後のフェイド・アウトの部分で“Now we're standing inside the rain tonight”と叫んでいるのは、ボブ・ディランへのオマージュか? | ||
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| 08 コンプリケイション・シェイクダウン −Complication Shakedown− 『VISITORS』(1984.5.21発売)収録 アルバム『VISITORS』のオープニング・ナンバー。1983年4月、元春は単身ニューヨークにむかった。当時のニューヨークではヒップホップのムーヴメントの大きなうねりが生まれつつあった。元春はその真っ只中に身を置き、ヒップホップ・カルチャーを“異邦人”の立場で、非常にジャーナリスティックに捉えた傑作アルバム『VISITORS』をつくり上げた。 日本ポップ・ミュージック史上、初のヒップホップ、またはラップと言ってもいいナンバー。約20年前にヒップホップに挑戦した元春に敬意を表します。アルバム『SOMEDAY』の大成功の後、ニューヨークに1年間滞在してリリースされた。1年以上、新作の発表をまたされていた当時のファンたちは、正直いってこの曲を聴いてガッカリした。ノリノリの70年代スタイルのロックンロールを期待していたのに、訳のわからないサウンドに戸惑ったからでしょう。まだ、日本にはヒップホップやラップといった言葉すらなかった時代です。 | ||
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| 09 ふたりの理由 −SOUL MATES− 『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』(1989.6.1発売)収録 1950年代中盤におきたアメリカの文学運動「ビート(=BEAT)」の影響を強くうけたポエトリー・リーディングの作品。運動の中心人物、アレン・ギンズバーグやジャック・ケルアック、ウィリアム・バロウズといった「ビート・ジェネレーション」の表現者たちの自由奔放な詩や小説は、元春に「時代によって呼び名は変わるが“ビート”は生きつづける。それはボヘミアンとして生きることだ」というメッセージを植えつけた。 もともとはメロディーがきちんとあった楽曲とのこと。ロンドンのスタジオで、何度もヴォーカル・テイクをレコーディングをしているうちにメロディーが削ぎ落ちて、ポエトリー・リーディングの形式になったということです。サビのメロディーの美しさから想像すると、少しもったいないような気がしますが、この方がこの曲の持っている「英知」「勇気」「情熱」といったものを表現するのには適しているのかも。 | ||
| 10 マンハッタンブリッジにたたずんで −MANHATTAN BRIDGE− 『NIAGARA TRIANGLE VOL.2』(1982.3.21発売)収録 1976年に発表された『NIAGARA TRIANGLE VOL.1』の続編として、大滝詠一のオーガナイズによりナイアガラ・レーベルよりリリースされたオムニバス・アルバムに収録されている。ちなみに『NIAGARA TRIANGLE VOL.1』は、大瀧詠一、山下達郎、伊藤銀次の3名、『NIAGARA TRIANGLE VOL.2』は、大瀧詠一、佐野元春、杉真理の3名のユニット。 大学生時代、留年して片道チケットをもってニューヨークへ行き、1ヶ月間滞在しました(ホントはすぐ帰りたかったけど、金欠のため帰りのチケットを買うのに1ヶ月かかった)。マンハッタンブリッジでこの曲を聴こうと思い、テープにダビングしてウォークマンを持って、はりきって渡米しました。後でわかったんですが、ボクがたたずんでいたのは、マンハッタンブリッジじゃなかった。多分、ブルックリン橋で悦にはいっていたみたいです。 | ||
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| 11 水上バスに乗って −Water Line− 『FRUITS』(1996.7.1発売)収録 デビュー以来15年間、ともに活動をつづけてきたバンド“The HEARTLAND”の解散後発表された、元春の再デビュー・アルバムの位置づけにある『FRUITS』のなかのポップ・チューン。“日の出桟橋”という日本の地名が、彼の詞に登場することはレアなケース。 うぅ〜、間奏のツイン・ギターのリフがカッコイイ。こんな脳天気な明るい曲をもっとつくって欲しいものです。この楽曲のなかにでてくる水上バスは、亀戸とお台場を結ぶ江東水上バスのこと。リリース後、乗ってみたくて浜松町から日の出桟橋まで歩き、浅草まで隅田川のクルーズを楽しみました。浅草で「今半」にいき、えらく高いスキヤキを食したのをおぼえています。また、いきたいものです。 | ||
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| 12 君をさがしている(朝が来るまで) −Looking For You− 『Heart Beat』(1981.2.25発売)収録 この『vol.3』に収録しているのは、デビュー20周年記念アルバム『The 20th Anniversary Edition』に収録されているヴァージョン。『Heart Beat』に収録されているオリジナル・ヴァージョンは、編曲がバーズ・タッチのフォーク・ロックを目指しながら必ずしも成功しているとは言い難い。 アルバム『Heart Beat』では元春本人も認める通り、アレンジに精彩を欠いたが、18年の歳月を経ての新録音でバーズ、ディランを彷彿させるフォーク・ロック・ヴァージョンに生まれ変わりました。あのとき、片方の手の中で吠えていた凶暴な情熱は今もそのままに。1996年からの元春のニュー・パートナー“The HOBO KING BAND”の真骨頂。スタジオでのセッション・レコーディングとは思えません。こやつら、演奏がうますぎ。 | ||
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| 13 ヤングブラッズ −Young Bloods− 『Cafe Bohemia』(1986.12.1発売)収録 ニューヨークでアルバム『VISITORS』を制作し、自らの表現のフェイズを更新した元春が、日本に帰って最初に踏みだした重要な第一歩。ルーツにたいするリスペクトを背景にしたクールなモダン・ミュージックへのコミットメントを宣言したといっていい楽曲。国連国際青年年のNHKテーマ・ソングでもあった。 日本で初めて、日本人の手でプロモーション・ビデオ・クリップが制作されたナンバー。代々木公園近くの路上に、“元春 with the HEARTLAND”がワゴンのなかから突如登場し、この楽曲を演奏するといった内容でした。最初は何が起こったかわからない通行人が、徐々に集まってきてノリノリになるという、やらせではなくドキュメントです。今はやりのゲリラ・ライブも元春が先駆けです。ちなみに、日本初のビデオ・クリップは元春の「Tonight」です。 | ||
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| 14 ジャスミンガール −Jasmine Girl− 『TIME OUT!』(1990.11.9発売)収録 元春自身がホーム・アルバムと称する『TIME OUT!』の先行第1弾シングル。デジタル・マスタリングの技術が確立されようとしていた当時のシーンへのアンチテーゼの意味か、バンド・サウンドにこだわったレコーディングとなっている。 ボクのなかでの元春史上最低のアルバム『TIME OUT!』。そのなかで唯一まともな曲。ライヴで聴くとそれなりに感動するけど、曲のテーマが何なのかハッキリせずにぼやけた感じは否めません。『vol.3』には、オリジナル・アルバムから最低1曲ずつは収録しようと思ってセレクトしました。しかし、間奏とアウトロで、元春がプレイしているブルースハープは冴えまくっています。 | ||
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| 15 彼女の隣人 −Don't Cry− 『The Circle』(1993.11.10発売)収録 デビュー以来15年間、活動をともにしていたバンド“The HEARTLAND”との最後のコラボレーションとなったアルバム『The Circle』に収録。ファンキーで重厚なサウンド・プロダクションとなっていて、歌詞にも遊びやフェイクはほとんど見られず、まさに内面を吐きだすように、ある意味でシリアスな、ある意味で誠実な言葉が連綿と紡ぎだされていく。 メロディ・セクストーンの“Don't Cry”と叫ぶようなバック・コーラスがカッコよすぎます。レリジアスな雰囲気さえ漂ってくる迫力には圧倒されてしまいます。歌詞のなかの“連れて行くよSea of Love”のフレーズは、アル・パチーノ主演の映画「SEA OF LOVE」と何か関係があるんでしょうか。僕はこの映画を観たことがありません。 | ||
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| 16 ロックンロール・ナイト −Rock & Roll Night− 『SOMEDAY』(1982.5.21発売)収録 ロック世代の成長をテーマにしたロッカ・バラッド。この楽曲は、汚れのない夢や希望を謳歌した初期の作品よりも、深い人生の悲しみへの洞察にあふれ、無邪気さが経験を積んだ状態を見事に映しだしている。元春サウンド、初期の傑作。 「日本ポップ・ミュージック史上初の」という枕詞がやけに多い元春。この楽曲も日本ポップ史上初のロック・オペラ。荘厳なロック・オーケストラをバックに元春のシャウトが冴えています。語りかけるように歌うパートはブルース・スプリングスティーンの「Jangleland」にインスパイアされたことは間違いないです。松田聖子の「ハートのイヤリング」とイントロが似すぎています。ていうか元春色を出すために「ハートの…」の方は、アレンジャーがわざと似せたんだと思いますけどね。 | ||
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| 17 スターダスト・キッズ −STARDUST KIDS− 『No Damage−14のありふれたチャイム達−』(1983.4.21発売)収録 この『vol.3』に収録したのは、ブラス・セクションをフィーチャーしたリテイク・ヴァージョン。オリジナル・ヴァージョンは、イントロにブラスではなくブルースハープを使用しており、シングル「DOWN TOWN BOY」のカップリング(B面)として1981年10月21日にリリースされた。 このリテイク・ヴァージョンの方が断然カッコイイ。ちょっと信じられないけど、オリジナル・ヴァージョンは、アンプラグドっぽいアコースティック・サウンドで演奏されていました。こんな派手な楽曲にアコースティック・テイストなんて合うわけないですよね。 | ||
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| 18 イノセント −Innocent− 『The 20th Anniversary Edition』(2000.1.21発売)収録 デビュー20周年の記念ソング的なナンバー。元春からファンへの謝意をこめた真実のラヴレター。アルバム・ヴァージョンではイントロをカットしているが、この『vol.3』に収録したのは、シングルとして先行発売されたイントロ付のフル・ヴァージョン。 デビュー20周年記念アルバムのためにレコーディングされた最新曲です。「荒廃した街のなかに息づくイノセンス」というテーマのもと、「真実はどこか遠くにあるのではない。真実はただそこにあってボクたちに見出されるのをまっているだけなのさ」というデビュー当初からのメッセージをコンテンポラリーなWords & Musicで表現しています。“ありがとう”を捧げるこの曲が、身も蓋もないロックンロールであることが何より嬉しい。どこまでもいこう。 | ||
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